【第56期王位戦第四局】羽生王位、広瀬挑戦者の胸中をさておき、王位防衛に王手【医学/人生訓】「『思考の老化』をどう防ぐか」和田秀樹さん

2015年08月24日

【将棋】「将棋世界2015年8月号/創造の原動力[中編]」藤井猛さん

P117
弱いからこその発想

(前略)

【藤井猛九段】
相振り飛車で「菅井流」と呼ばれる仕掛けがあるじゃない。僕が菅井君の名前を最初に聞いたのはそれが最初だったけど、これはどうなの?

【菅井竜也六段】
いい加減な仕掛けですよね(笑)。これは奨励会の級位者の頃、対局中に思いついた仕掛けです。「面白いかも」と思って指したら、結果は快勝でした。この形は、目指そうと思ったら目指せます。相振り飛車で3筋を突いていったら、だいたい相手は向かい飛車に振って矢倉に組んでくるじゃないですか。こちらの形はいつも同じでよくて、わかりやすい。かなり勝っていましたし、長いことやっていたので印象に残っていますね。

【佐藤康光九段】
これはたしかに有名ですね。私も印象に残っています。

【藤井九段】
これって、自玉のそばから仕掛けているでしょう。プロ棋士が仮に思いついたとしても、「まあ、こんな手はないよな」とふたをしてしまう。失礼だけど、当時は奨励会の級位者ということだから、あんまり強くはなかった。弱いからこそ生み出せる柔軟な発想というのがあるよね。強くなればなるほど、目新しいことに対する抵抗が強くて、可能性を閉じてしまう。段位が上がるにつれて、必ずしも強くなっていくとは限らないね。

「菅井流」創作述懐の藤井猛九段の所感、考察は成る程だ。
私は以下咀嚼したが、主旨は極めて普遍で、示唆深い。

「菅井さんが新戦法『菅井流』を創作できたのは、当時まだアマチュアの、実力的、実績的、立場的にまだ『弱い』時分だったこと、つまり、良くも悪くも低経験値で棋風が確立されておらず、固定概念も先入観も、そして、『昔とった杵柄』も『失うモノ』も殆ど無く、新しいアイデアや可能性に貪欲、従順だったこと、が大きいのだろう。
というのも、たしかに、プロが昇段し、『強い』時分&自分に成ってしまうと、良くも悪くも高経験値で棋風が確立し、固定概念も先入観も、そして、『昔とった杵柄』も『失うモノ』も沢山抱えてしまい、新しいアイデアや可能性に頑固、臆病な余り、一層の成長、成功の芽を自ら摘んでしまう嫌いがあるからだ。
『菅井流』の創作のてん末から改めて気づかされるのは、ある意味、弱いからこそ強い、ないし、強く成れるし、強いからこそ弱い、ないし、一層は強く成り難い、ということだ」。

要は、「強く成らなければ、勝てないし、そもそも楽しくないが、強く成ると、別の意味で勝てなく成り、かつ、楽しくなく成る」、ということだろう。
そして、本事項は正に皮肉であり、物事に持続的に熟達、成功するには、それに屈しないだけの独自の勝負哲学が要る、ということだろう。
やはり、成功者は哲学者に違いない







kimio_memo at 07:33│Comments(0)TrackBack(0) 書籍 

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