【洋画】「ウォール街/Wall Street」(1987)【第56期王位戦第四局】羽生王位、広瀬挑戦者の胸中をさておき、王位防衛に王手

2015年08月20日

【BSJAPAN】「日経プラス10/戦後70年企画シリーズ遺言『時代の変化を読め』」鈴木敏文さん

【山川龍雄キャスター】
小谷さんも私も、とても興味があるのは、いくつかの鈴木さんの経営スタイル、これがどこから生まれたかっていうのは、今日是非聞きたいなっていう話をしてたんですけども[・・・](鈴木会長は)自社の店舗には定期的に行かれると思うんですけども、基本的にはそれほど現場主義ではないし、他社の店舗には殆どもうあまり見に行くことはないっていう、ずっとそのスタイルを貫いていらっしゃるじゃないですか。

【鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長】
いや、僕はね、一番現場主義だから

【山川キャスター】
それが現場主義?

【小谷真生子キャスター】
えっ?

【鈴木会長】
我々(が手がけている事業)は、(売上)対象がお客さんでしょ。
そうすると、お客さんの変化を見続けることが、一番現場なのよね。
だから、たとえば、同業他社を見たからといってね、そこと競争して、何かが少し優位に立ったって、そんな何も意味もないことよね。


【山川キャスター】
うーん。

【鈴木会長】
たとえばね、(昔)スーパー(を手がける企業)がずっと伸びてきた。
で、ダイエーさん、西友さん、まあヨーカドー、みんなそう。
だけどね、その時、お互いに同業他社をね、みんな一緒になってね、「横目で見る」んじゃなくて、「真正面から見て」、価格競争したり、店舗の拡大をしたりしてきた。
だって、今、(各社)どうなってる?

[小谷キャスター】
あー、なるほど。

【鈴木会長】
ね。
我々の現場はお客さんなんだから、お客さんを見続けることが現場なんであってね。

[小谷キャスター】
今仰ったように、それが現場主義とするならば、その原点、鈴木さんにとってそうしようと思い付かれた原点っていうのは、どんなだったんですか?

【鈴木会長】
僕はね、いつも皆さんにお話ししているのが「変化対応」でしょ。
で、世の中というものは、人間っていうのはね、常に変わる、変化する、と。
だから、「常に変化するものだ」という前提で考えれば良いと思うんですよね。
だから、たとえばね、まあこれもよく言ってることですけど、「美味しいものほど飽きる」、と。

[小谷キャスター】
えっ、そうですか?
続くんじゃないですか?

【鈴木会長】
だってね、あなたたとえばね、料理屋へ行ってね、毎日同じ美味しいものということで、料理屋から出されたらどうなの?

[小谷キャスター】
飽きますか?

【鈴木会長】
飽きますよ。
ウチ(家)でね、ご自分で作ったり、或いは、たとえばの話ですよ、たまには「時間がない」って言ってインスタントラーメン食べたりということの方が、飽きが来ないのよね。
だけど、毎日料亭へ行ってね、料亭の料理を食べててごらん。
最初は美味しいと思っても、絶対飽きるから。

【山川キャスター】
先ほどの話に戻ると、「戦争の時、教師は変わる」っていう話もありましたし、鈴木さん自身も、「段々(地元の長野の)養蚕業が縮小してくるとすれば、(自分は)また違う道を(探す必要がある)」ということを仰ったんですけど、その頃から、「人は変わる、時代は変わる、自分も変わらなきゃいけない」っていうのは、もう子どもの頃から頭の中に在ることなんですか?

【鈴木会長】
そういうことは(意識して)考えていたわけじゃないけれどもね、
「(何であれ)常に変わる」と、だから、「ちょっと先を見続けなくちゃいけない」という風に(思うようになった)。
それと、たとえば、私がね、セブン-イレブンを始めた、と。
あの時には(周囲が)もう全部反対だった。
だけど、なんで始めたかっていうと、商店街の店がおかしくなるっていうことは、それは大型店が出てくるからと言うけれどもね、大型店だっていずれはね、変わらざるを得ないだろう、と。
そうすると、その(流通業の)原点っていうのはやっぱり、小さな小売店だろう、と。
で、その小売店がダメに成るということは、当時、その(地域のお客さまの)生活にね、密着した商品をやはり提供していないからだ、と。
だから、それに合うような商品を揃えていったら良いだろう、という風に考えて(セブンイレブンを)やってきて、だから、みんながなんで反対するんだ、と(どうしても不可思議に思ってしまう訳です)。

[小谷キャスター】
(鈴木会長は)昔、統計学と心理学を徹底的に勉強された(と聞いています)。
心理学の方が主に、「変わらないといけない」っていう所に行き着くんですか?

【鈴木会長】
そう。
心理学っていうのはね、誰もやっぱりみんな心理学に対するアレは持ってられる。
要するに、世の中の変化とかね、全部心理学、心理なのよね。
先ほども話したように、たとえば「好む」とか「飽きる」とかっていうことは、これ、みんな心理なのよね。
だから商品(のあるべき価値、或いは、その開発、販売)についてだって全部、ね。

【山川キャスター】
鈴木さんが筋金入りの現場主義だったってことは、今日初めて知りました。(笑)

【鈴木会長】
だから、「現場」っていうことはね、そこへ行かなかったら分からない、ということじゃないよね
だったら、たとえば、今我々1万8千店のセブンイレブンあるじゃない。
これ、全部行くなんてこと、絶対できないじゃない。

【山川キャスター】
鈴木さんの、もしかしたらスタイルを、一番流通業で追いかけているのは、アマゾンのジェフ・ベゾス(CEO)かもしれないですね。
私、インタビューした時、おんなじこと(言ってましたもの。
「ライバルだけは絶対見ない」、と。
『ライバルを見る』ということは、二番煎じでしかない」、と。
「常に見るのは、お客さんだけだ」、と彼も言ってますよ。

【鈴木会長】
あっ、そう。
(まあそうした一連の考えは)自分でそう思うからね。
だから、別にね、競合店を、コンビニだってこれだけ沢山ね、ありますよ、同業が。
だけど、そこと(自社を)見(比べ)てね、「良い、悪い」って言ってたんじゃ、しょうがないんだよね。
今、セブン-イレブンと他の所とはね、一日の売上で、十数万の開きがあるよね。
(セブンイレブン:655千円、ローソン:533千円、ファミリーマート:508千円)
ていうことは、他見てたら下がっちゃうよね、レベルがね。
満足しちゃうもの、それで。

鈴木敏文さんのお考えは、相変わらず教示に富む。
成る程、真の「現場主義」とは、お客さまの心情態度の変化、それもできればその「兆し」に敏感、従順な思考態度を言うのだろう。
企業の戦略の立案と実行を司る(経営)幹部が製造、販売の最前線に積極的に訪れることは、あくまでその一手段、一選択肢であり、十分条件でなければ、必要条件でもないに違いない。

そもそもなぜ、製造、販売の最前線に積極的に訪れることそのものが、(経営)幹部のあるべき「現場主義」として褒め称えられるようになったのか。
あくまで個人的な見解だが、主犯は、日産のカルロス・ゴーン社長と彼を持ち上げた御用メディアだと思う。
「ゲンバが一番」と、自分の経営哲学の基盤を現場主義と標榜し、分単位の単なる物理的かつ形式的な「表敬訪問」を、あたかも幹部のあるべき現場訪問、あるべき現場主義、であるがの如く世のビジネスマンに喧伝した彼らの罪は小さくない。

しかし、こう考えてみると、改めてそもそも「現場主義」という言葉、ないし、思考態度は変だ。
というのも、現場主義が本当に先述の思考態度を意味するのであれば、(経営)幹部に限らず、あらゆるビジネスマンにとって当然の思考態度だからだ。

では、それでもなぜ、現場主義は依然褒め称えられるのか。
誤解を怖れずに言えば、日本人の多くは、それだけ現場が好きなのだろう。
もっと言えば、「商いの神様は現場にこそ宿っている」とでも、思っているのだろう。
日本人の唯一の希望は現場なのだろう。

たしかに、私は、自分自身もそうだし、また、経営コンサルタントとして経営者にも、積極的に現場を訪問することを推奨している。
が、それは現場主義の一手段、一選択肢としてではなく、基本的には、現場スタッフの業務遂行の実情と精度、そして、彼らの士気、のデータ理解不能分を肌理解せんがためだ。
現場は好きだが、結局、現場は経営の具現かつ帰趨であり、本当の商いの神様は社長室、もっと言えば、経営者の頭の中に宿っている、と思っている。

日本人の多くが現場を好み、そこに商いの神様や唯一の希望を窺うのは、それだけ経営者が信じられていないから、もっと言えば、彼らが本分の経営を殆どしておらず、結局、居ても居ないのと同じ、と見くびられているから、ではないか。
経営者足る者、表敬訪問が現場に歓待されたら、それは経営者ではなく男芸者、それも不細工で怠惰極まりないそれ、と見くびられてのことと自戒する必要がある。



★2015年8月12日放送分
http://www.bs-j.co.jp/plus10/backnumber/201508/12/



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