【第56期王位戦第一局】羽生王位、広瀬挑戦者の手順前後の攻めを許さず、先勝【第86期棋聖戦/第四局】「投げない」羽生棋聖、前人未到の8連覇を果たす

2015年07月15日

【観戦記】「第73期名人戦七番勝負〔第5局の17▲行方尚史八段△羽生善治名人〕据わりを増す目」関浩さん

盤側に張り付き、二人の横顔を見続けた。静と動。動きの多い行方(尚史八段)に対し、羽生(善治名人)の目は時間を追うごとに据わりを増し、余分な仕草は影をひそめた。

獲物を狙うぎらついた光はない。ただひたすらに対象をよく見よう、深く知ろうと欲するあまり、徐々に我を忘れ、全身が目と化していくかのような印象を受けた。

どんな競技でも終盤の山場を迎えると、自分との戦いになる。マラソンでも瞬く間にトップ集団から脱落する選手が出始める。誰もが苦しい。

ナンバーワンになる強者というものは、その苦しい状況の中で、もうひと踏ん張りの利く人たちであろう。2日目夜戦。羽生とて疲れていないはずがない。しかし、そうした修羅場をかいくぐっていくことでのみ、非常用の第2、第3エンジンは育っていく

プロフェッショナルは強者でもあるが、彼らはいつ、いかにしてその実力を得るのか。
現場であり、実戦であり、修羅場だ。
事前の過酷かつ十二分な準備がもはや直接には活きない、修羅場という、一つのミスが命取りに直結する極限状況に追い詰められてもなお、自分の勝利、成功を信じ、その到達の最善道程を捻出、敢行し続ける中で、人は実力を勝ち得るのだ。
「強者とは、非常用の第2、第3のエンジンを持つ、『もうひと踏ん張り』の達人のことだ」。
関浩さんは強者をこの旨定義したが、強者は実力者の頂点であり、尤もだ。
強者が強者足り得るのは、自分に「もうひと踏ん張り」し、相手に「もうひと押し」できる実力と自信を勝ち得ているからだろう。



★2015年7月11日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/shimen/news/20150711ddm012040053000c.html
http://mainichi.jp/feature/shougi/



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