【第62期王座戦第一局】豊島挑戦者、△9六歩を仇にし、羽生王座に先勝を譲る【第27期竜王戦挑戦者決定三番勝負第三局】糸谷六段、遂に羽生四冠を下し、初の竜王、タイトル挑戦の大舞台へ

2014年09月08日

【演劇】「太鼓たたいて笛ふいて」

[ひと言感想]
無知な人間の妄想ほど、恐ろしいものはない」のはまったくです
しかし、人間は、いかに博識になった所で、世の真理を全ては知覚し得ず、「生涯現役」ならぬ「生涯無知」を免れません。
然るに、私たちが生涯励むべきは、先ず無知を改めることに加え、妄想とその過ちをしかと自認し、善処すること。
そして、それを教訓化し、具体的に罪滅ぼしすること、です。
ともあれ私は、寅次郎の潔さ、気前の良さ、行動力を一層まねぶ所存です。(笑)


★2014年8月4日BSNHKにて放映
http://www4.nhk.or.jp/p-stage/x/2014-08-03/10/30574/



8月の終戦記念日にふさわしくプレミアムステージでは作家、林芙美子の戦中、戦後の生き方を描いた舞台「太鼓たたいて笛ふいて」を放送する。林芙美子が「放浪記」で文壇デビューを果たした頃から戦争を通して庶民を題材に世論と戦いながら死を迎えるまでを描いている。【作】井上ひさし【演出】栗山民也【音楽】宇野誠一郎【ピアノ演奏】朴勝哲【出演】大竹しのぶ、木場勝己、梅沢昌代、山崎 一、阿南健治ほか

【林芙美子(演:大竹しのぶさん)】
ところで、さっきの長野放送局のラジオ講演のお話、とても気分が良くなったから、お引き受けしてもいいですよ。
決死の覚悟でやりましょう。

【三木孝〔※元音楽・ラジオプロデューサー/現内閣情報局員〕(演:木場勝己さん)】
なーに、軽い気持ちでやってくださっていいんですよ。

【加賀四郎〔※元笛&太鼓の行商人→憲兵/現特高刑事〕(演:山崎一さん)】
講演の間にちょこっと、こんなことを喋ってもらえれば、八方円満ですわ。
これ、虎の巻ですよ。

【芙美子】
「綺麗に負けるしかない」という持論を話すんですから、虎の巻は要りませんよ。

【加賀】
わっ、非国民!

【三木】
先生のためなんです。
それがお分かりにならないのですか?

【芙美子】
分かっていないのはあなたよ、三木さん。
あたなの、そして、私のでもあったあの物語、日本人みんながとても気に入っていたあの物語。
あれは元々、嘘っぱちだった。
それが分からないの?

【三木】
あの物語?

【芙美子】
例の、「戦は儲かる」という物語ですよ。
都会から疎開してきた子どもたちは、休み時間に田んぼや原っぱに行って、蛙や蛇を捕まえて食べている。
その親たちは空襲で、一晩に十万人も焼け死んで行く。
前線には、餓死した兵隊さんたちの死体が山積みになっている。
恋することも知らずに、少年たちが爆弾抱えて敵艦にぶつかって行く。
どこに儲かっている日本人が居るの?
苦しんでいる人たちばかりじゃないの。

【三木】
待ってください。
儲けはどれぐらいか、それは戦が終わってみなければ、わからんでしょう。

【芙美子】
では、亡くなってしまった人たちに、どうやってその儲けを分けて差し上げるつもり?
神様にしてあげて、立派な社を建ててあげれば、それで済むの?
それに、あの方たちが本当に神様になっているかどうか、誰が確かめるの?

【三木】
先生!

【芙美子】
三木さん、あの物語は妄想だったのよ。

【三木】
妄想?

【芙美子】
今度の戦さは総力戦、それが分かっていなかったあなた、そして、私。
無知でしたね。
無知な人間の妄想ほど恐ろしいものはないわ。

【三木】
林さん!

【加賀】
もういいかげんにしろ!

【芙美子】
こうなったのは軍部が悪い。
天皇様に責任がある。
戦さを煽った新聞とラジオがいけない。
責任を他へなすりつけようとする人たちが、この村にも大勢居るわ。
ここの共同温泉に五分も入っていてごらんなさい。
白い湯気に交じって、そういう責任逃れの言葉のかけらがいっぱい立ち込めていて、息が詰まりそうになるから。
でも、嘘っぱちな物語を信じ込んでいたことでは、みんな同じ愚か者よ。
そんな物語を作り出した奴、そんな物語を読みたがった奴、誰も彼も、みんな救いようも無い愚か者だったのよ。


太鼓たたいて笛ふいて
井上 ひさし
新潮社
2013-11-01



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