2013年09月09日
【経営】「破壊的イノベーション」玉田俊平太さん
P207〔監修者 あとがき〕
本書を既にお読み頂いた方にはご理解頂けていることと思うが、本書で明らかにされているのは、1980年代に絶賛された日本企業といえども、破壊的イノベーションの法則からは逃れることができず、新規参入者に「破壊」されつつあるという事実だ。私の恩師であるクレイトン・クリステンセン教授は以下のような趣旨のことを言っている。
「翼と羽を持つ鳥が空を飛べているからといって、あなたがその『ベスト・プラクティス』を模倣して、その手に羽根のついた翼をくくりつけて空を飛ぼうとしても、決してうまくいかないだろう。そこには、『理論』がないからだ。トップ・マネジメントに必要なのは、企業に働く『力学』を理解し、原因と結果を結びつける『理論』を構築することにほかならない。」
クレイトン・クリステンセン教授の言葉は、御意のひと言に尽きる。
そう、競合他社のベスト・プラクティスを盲目的に受容、模倣するだけでは、競合他社が得た成果を得ることはあり得ないのだ。
競合他社に真に追いつき、追い越したければ、先ず、「”その”競合他社は、いかにして”その”ベスト・プラクティスを創出、実行し得たのか」、「”その”競合他社は、なぜ”その”ベストプラクティスを創出、実行しなければならなかったのか」、「”その”競合他社のベストプラクティスと”その”競合他社の成果には、いかなる因果関係が存在するのか」、を徹底的に解明することだ。
成果の真因は、方法論という「見える」、「模倣し易い」所ではなく、方法論を構成する力学、即ち、ロジックという「見え難い」、「単純模倣できない(→応用不可避な)」所にこそ在る。