2012年03月13日
【自戦記】「第70期名人戦B級1組順位戦[第2譜▲松尾歩七段△橋本崇載七段]鬼のすみか」橋本崇載さん
B級1組は「鬼のすみか」と呼ばれ、実力者ぞろいの激戦区といわれる。
今年度は特に強力なメンバーがそろって、だれが降級してもおかしくないと思った。
まあ強い相手としか当たらないので、勝敗よりもむしろ稽古をつけてもらうつもりで指そうと思っていた。
いかなる分野であれ、強敵者揃いの激戦区を制するには、実力の最善発揮と緊張の最善緩和が不可欠だ。
ゆえに、勝敗という結果に加え、強敵者との激戦という稀少かつ貴重なプロセスにも関心と意義を見出すことが有効だ。
橋本崇載七段が思われた「むしろ稽古をつけてもらうつもり」というのは、本局の勝利を大きく後押ししたに違いない。
「好バランスで結果とプロセスの両方に関心と意義を見出し続けられること」。
いかなる分野であれ、実力者と勝利者は紙一重であり、本習性の自助度が両者を分かつに違いない。
★2012年3月12日付毎日新聞夕刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/