【人生】「老いる覚悟」森村誠一さん【小説】「悪道」森村誠一さん

2011年10月16日

【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第15局の1▲丸山忠久九段△三浦弘行八段〕工夫の駒組み」椎名龍一さん

対局開始前。
両対局者が将棋盤を挟んで座ったところで、三浦(弘之八段)がふいに「挑戦おめでとうございます」と丸山(忠久九段)に声をかけた。

丸山はちょっと意表を突かれたのだろう。
一瞬驚いた表情を見せたもののすぐに柔和な表情となり、ありがとうの意でほほ笑みを返した。
この対局が行なわれる数日前、丸山は竜王戦の挑戦権を獲得し、三浦はそのことを祝福したのだった。

A級リーグは2戦を終えて、三浦が1勝1敗、丸山は2敗。
丸山にとっては最悪のスタートとなったが、竜王挑戦は大きな弾み。
棋士というのは勝てば勝つだけ勢いが増すもので、ここからの丸山は怖い存在となる予感がある。
おそらく三浦にとっても「嫌なタイミングで丸山さんと当たったな」という思いがあったのではないだろうか。
三浦弘之八段の丸山忠久九段に対する声がけは、他意は無いのではないか。
三浦さんは、純粋に、丸山さんが群雄割拠を勝ち抜けた労をねぎらうと共に、丸山さんがタイトル復位の好機を勝ち得た喜びを称えたのではないか。
成功には成長が不可欠であり、成長には切磋琢磨が不可欠であり、切削琢磨には好敵手(ライバル)が不可欠である。
「好敵手を敬愛し格別の労と喜びに肯定的かつ積極的に応えることは、今、プロフェッショナルの棋士として、また、一人の人間として『できること』、『やるべきこと』であるに違いない」。
三浦さんは、純粋にこう考え、行動に移されたのではないか。

もちろん、これは、下手の横好きの(笑)の妄想だ。
しかし、純粋で、「後悔を最小化する生き方」を貫徹なさっている三浦さんのこと、私はそう信じたい。


★2011年10月16日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/

kimio_memo at 18:08│Comments(0)TrackBack(0) 新聞将棋欄 

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